「ねえ、社?」
――なんでしょうか?
「前から思っていたんだけど、何で鳥居がしょっちゅう逆さまなの?」
――ご主人様が腰掛けられるようにですよ。
「あと、この神社って何で拝殿だけなの?」
――本殿の無い神社というものも沢山ありますよ。
「うーん……何か引っ掛かる……」
――それでしたら、立派な神社っぽく模様替えしてみますか?
「え?建物を移動させるってこと?」
――はい。やれないこともないですよ。
「おお!楽しそう!」
――ではやってみましょうか。
「わーい!」
***
「じゃあ……お客様用の家が本殿!」
――本殿が大きいですね。
「拝殿は両側の扉を開けて割拝殿代わり!」
――では本殿前に移動させて……。
「武道場は神庫で!」
――武道場は神輿舎。
「うん?」
――いえいえ、他はどうしますか?
「えーっと、手水舎は夏の庭にある滝からそれっぽいのを選んで……」
――はい。
「脱衣場は……社務所兼納札所?」
――はいはい。
「あ!神楽殿が欲しいな!」
――優先順位がおかしい気もしますけれど、まあ分かります。
「使えそうな建物は無いから……庭木でそれっぽいオブジェ作れる?」
――やってみましょう。
「せっかくだから私の家と土蔵も本殿と神庫の間に置いて……」
――コンパクトになりましたね。
「後は庭石とかで灯篭とかそれっぽいものを仕立てれば……」
――立派な神社っぽくなりましたかね。
「模様替え!ありがとう!」
――いえ、どういたしまして。
「あ、そうだ!社!ひとつ試したいことがあるんだけど」
――はい、なんでしょうか。
「社の『袖中の箱庭』を『サの便』でコピーして」
――はい。
「限界まで小さくなった社にもう一回『袖中の箱庭』を掛けたらどうなるかなーって」
――試してみましょうか。
「うん!」
誰かの家――かりあげダンゲロス参戦!!
***
――仕方ないじゃないですか。私の祀る神は天上ではなく、地上に居るのですから。
――仕方ないじゃないですか。私の祀る神は建物の中よりも、外の方が似合うのですから。