薬草

希望崎学園地下迷宮にて、大魂がひとり探検をしている。
自分が魂を込めて作り上げたブリ大根は迷宮に蠢くモンスター達も手懐けられるはず――
己の腕と魂と、そして共に戦った仲間達の想いが篭った料理の力を証明するための孤独な挑戦であった。
そんな熱い魂の漢、大魂の方へ駆けてくる人影がひとつ。
「助けてぇぇぇぇ!」
悲鳴を上げながら、服は破け、血濡れになりながら必死に走りくる希望崎学園生の姿をみとめた大魂は、
その漢気を遺憾なく発揮し、すぐに助けてやろうと、迫る学園生を迎えいれた。
「落ち着きな!何があったか俺に」
「よっしゃぁぁぁ!助かったぁぁぁ!」
大魂が台詞を言い切る前に、学園生は歓喜の雄たけびと共に大魂を掴みあげた。
「薬草ゲットォォォ!!!」
「とろっとろにとろけたブリ大根食わせるぞワレェ!」

※注 オチが分からない方は【ダンジョン&ダンゲロス】アイテム見本「薬草」を参照



死亡フラグ

古参陣営をギッタギタにする作戦について高らかに謳い上げた朱音を前に、夢追はひとつうなずいた。
「なるほど!つまり古参対策は最早完璧であると!」
「あったりまえやん!ウチがあいつらの固くなった頭ぜーんぶド突き回したるわ!」
「頼もしいお言葉ですね!」
「ま、そもそもウチが新参陣営に居る時点でこっちの勝ちは最初から決まってるようなもんやけどな!」
「それじゃあ思い切って次の校内新聞に新参陣営の勝利宣言でもぶちあげますか?」
「おお!やったれやったれ!」
「じゃあ早速見出しを考えますか……そうだ!朱音ちゃんのキャラを前面に打ち出して……」
夢追は手に持ったメモ帳に書き付けた文面を朱音に披露した。
「『Vやねん!新参陣営』なんてどうでしょう!?」
「なにがVやねん!」スパァーン

※注 オチが分からない方は「Vやねん」でググってください。
「オチの解説すんなや!」スパァーン



もしも夢追が7年前の剣道部に所属していたら

古くから幽霊をやっている梨咲は、希望崎学園の歴史に詳しい。
過去8度に渡って繰り広げられてきたハルマゲドンについて、報道部の夢追に語っている。
「……それでね、第三次といったらやっぱり一刀両さんは外せないね」
「ほうほう、どんな方だったんですか?」
「生徒会の凄腕女剣士にして女子剣道部部長。古風で純情な女の子で、ちょっと変わったところのある……そうそう、下着はいつも褌を愛用していたみたい」
「へぇ……女性なのに褌ですか」
人の特徴を話す際、ごく当たり前のように下着の話題が出る。これが希望崎学園である。
「いやー、是非ともお会いしてみたかったですねー」
「会ってどうするの?」
「女性で褌を愛用しているなんて珍しいじゃないですか。是非使用感とか色々聞いてみたいです」
「へ、へぇ」
「もし私がその当時の剣道部員だったら部活終わりにでも部室で褌の履き方とか心構えとか教わってみたかったなー」
(剣道部の部室で褌の履き方を教えたり教わったりしている女子高生……)
「やっぱり剣士としての矜持だったりするんでしょうかねー、それとも単純に履き心地がいいのかな?今度試してみようかな」
(夢追さんが7年前の剣道部員じゃなくて良かった……)
結論:夢追はいつの時代、どこにいても面倒ごとを引き起こす

※注 一刀両断が分からない方は『戦闘破壊学園ダンゲロス』講談社BOXより絶賛発売中!
「販促かいっ!」スパァーン